周囲に無頓着な天才というのはフィクションなのでしょうか

自分で自分のことをくすぐっても、普通はくすぐったいと感じない。ところが、統合失調症の人の一部はそうではないらしい。これは脳の予測機能の違いによるものだと、ある本に書かれていた。

脳は、自分の体を含めた周囲の動きを常に予測している。そして、予測と実際の動きが一致する部分を「これは自分だ」と判断する。統合失調症離人症の人の脳では、この予測機能が正常に働いていない。予測と体の行動が一致しないから、自分の体を自分のものと感じられず、「私は他人に動かされている」などと感じる。

私はこのことを知って、ギフテッドに関するあることを思い出した。グーグルでギフテッドの特徴を調べると、その一つに「社会的・政治的問題に関心を示す」というのが出てくる。私にとってこれは、やや意外な特徴だった。自分の興味に没頭する天才児といったイメージにそぐわない。でも、自分という感覚が脳の予測機能の産物なのだとしたら、優れた予測機能を持つ人にとっての自分は、通常よりも範囲の広いものになる。統合失調症が自分さえも自分と感じられなくなるのとは逆だ。彼らにとって、社会はまさに自分ごとなのだろうか。